雨の日。「ウェザーニューズ」のライブを流しながら後日のぶんの日記をここにつけている(今は二十八日)。それは日記といえるのだろうか、いえる、虚言癖がすっかり血となり肉となった小説家さんの場合にはとりあえずはね。それってもちろんそんなに堂々と胸をはるべきことではない、ただのズルをおかしているだけなのだから。夏休みの宿題すらもが大嫌いであった私にはむいている――などとアンネ・フランクのような率直さはよそうか。あさってから診察のために東京に行くことになっている。東京といえば上野に「珍々軒」というどうでもいい町中華があって、国立西洋美術館をDJと歌手の女の子ふたりを左右にたずさえて闊歩したあと、「伊藤さん、ちんちんたべたい! おちんちんたべたーい!」とJR上野駅前を絶叫されたのが、あれが、私の全盛期だったか。そのほかにも私のピークはある。地元の福島でおこなわれているしょぼいワークショップにいって、そうしたら、民家みたいな建物からトイレをもとめて出てくる今の鈴木博文さんよりも小さい背丈の、柴田元幸さんとばっちり目が合って、おっ、これおれの全盛期じゃねーのか、とおもったりとか、そういうこともあった。堀口大學同様に、柴田元幸と目が合ったらひとまずは間違いがないようなところがあるからね。