弟子にとにかく腹一杯くわせたがる師匠をもった落語家について書いた本で、満腹と空腹とでは意外にも、満腹のほうが苦しい、という記述にふれた時に、嗚呼、このひとは本当の空腹を知らないのだな、と嗟嘆をしたことが私にはある。なげかわしいのは、無知で…
生まれてはじめの記憶をありありと覚えているが、それがいつ頃のことであったのかは分からない。なによりも私がそれを回顧をして、不可思議の念に打たれるのは、ありありと、の部分の逆説的な、構図である。そのはじめての記憶のなかで、私は自分が毎日、満…
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